■新学期、この痛みには要注意!
〜シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の病態と発生因子〜 − 2007/03/16 −
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新学期、新しい学校や新しい学年になり部活動などにも一層の気合が入るときでもあります。この時期、運動量の変化や受験などで落ちた体力から、痛みなどの障害を引き起こすこともよくあります。今回はその中のひとつ、シンスプリントについてお話いたします。
シンスプリントとは脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、運動時および運動後に下腿中下1/3部の脛骨内側後縁に痛みを訴えるスポーツ障害です。ランニングやジャンプなどの運動によって起こることが多く、慢性的な疼痛と圧痛が主な症状として現れます。
その病態は、後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋・ヒラメ筋の脛骨起始部に繰り返し加えられたストレスによる骨膜の炎症反応であるといわれています。また非常によく似た症状を呈する障害として脛骨の疲労骨折があり、注意深い鑑別が必要となります。
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シンスプリントおよび疲労骨折の疼痛部位
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≪一般的な症状≫
・脛骨内側後縁の慢性的な疼痛および圧痛
・歩行、走行時の着地や蹴り出す際の響くような痛み
・患部に腫脹や凹凸を触れることもある
・足趾や足関節を底屈(屈曲)、背屈(伸展)させることにより誘発される痛み
(特に底屈時)
ランニングやジャンプによる衝撃の吸収や、力の伝達と重心移動を行うときに足部を安定させるために機能する後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋・ヒラメ筋は、着地の際に牽引され荷重ストレスを受けます。特に足部アーチの支持に関与する後脛骨筋や足関節底屈筋であるヒラメ筋は、荷重時に筋の伸張性収縮を余儀なくされ、結果的に筋の起始部に炎症を引き起こすようなストレスを繰り返すことになります。
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≪発生因子≫
スポーツ障害に限らず痛みが発生する要因として、個人の身体的特性などの内在因子、運動量や運動の内容などの使用因子、使用する用具や広義の環境が含まれる環境因子の3つの因子に分けられます。これらの要因が重なることで痛みなどの様々な症状が引き起こされるといわれています。
シンスプリントに関していえば、内在因子(身体的特性)として
・距骨下関節の回内度が大きい回内足
・足部アーチの低下が著しい偏平足
などがあります。使用因子(運動量や運動内容)としては、
・トラックシーズンやロードシーズンなど新メニュー導入期のトレーニング変化
・つま先が外を向いた状態(トゥ−アウト)のランニングフォームなど
また環境因子(用具や環境条件)として、
・硬い路面やアップダウンの激しい道路でのランニング
・消耗が激しいシューズやサイズが合っていないシューズなどが考えられます。
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≪典型的な発症例のパターン≫
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